『ブラックスワン』は面白い、けど「完璧」ではない

 なま乳首、見せてくれよー。こっちも欲求不満で変なマボロシを見ちゃいそうだよー。


 この話題作、確かに、とても良く出来ていて、サイコスリラーとしては非常に楽しめましたが、そんな男性目線への冷淡さがドラマ運びに欠陥をもたらしているように思え、「完璧」とは言えません。

 劇中で男性的視点を一手にになうのはバレエ演出家で、いわば「白鳥の湖」における王子役なんですが、まず、この王子様がナタリー・ポートマン演じるニナを何で選んだのか、必然性がなくて、納得が行きません。
 ベロチューしようとして噛まれたから魅力を感じた…って、ちっともマゾに思えないですが、この演出家、むしろドSなのに…。
 それこそ魔法にかかった、ということなのかもしれませんが、最後に至っても、この演出家が男というか人間として生きているように感じられません。

 若干、ラストに触れてしまいますが、「あれが官能的な黒鳥なの?、かなりの新解釈じゃーん」という感じで、観客からストレートに拍手喝采を受けてる描写には違和感があります。ちょっと、この官能性って「オナニー」に近いものじゃ・・・?

 少なくともミラ・クニス(リリー役)がバッチリ脱いでくれれば、そりゃ演出家も「なびく」よなあ、と判りやすくなるはずなのに!
 そんなわけで私の男性目線は焦点を結ばないままラストまで。


 さてアイドルブログだと思って、このページをお読みになってくれている人にサブプロット的情報を。この『ブラックスワン』、実は日本のアニメのリメイクみたい…というのは、ご存知の方も多いかも。町山智浩氏のブログに詳しいです。

 その今敏監督作品『パーフェクト・ブルー』は90年代後半の「アイドル冬の時代」を背景に、アイドルから女優への転進を図る女性が主人公ということで、アイドル好きの人も興味深く観られるのでは。

「突然ヘアヌードに!」ということでは管野美穂を思い出しました。

 それにしても『ブラックスワン』も中途半端に上品な「お芸術作品」風じゃなく、もっとしっかりとエロもあるスリラーにしてくれたら傑作になったはずなのに、惜しい。
 そういう意味で、「非実在」ですが、乳首もアンダーヘアも見せてくれる『パーフェクトブルー』の方が「完璧」です。