Hello! Goodbye Part.2

 再びRestructuringしつづけるHello! Projectについて考えてみたいと思います。
「即時性を大事にしたい」と言いながら前回は演者についての最新情報に触れずに終わってしまっていることに気がついて、かなり後悔していたのですが、実際のところ、9期メンバーが加入しようと、高橋愛の卒業が決まろうと、一般層は全く興味がないのが事実です。その編成によって生まれた作品にしか、ほとんどの人が興味がないのは当然で、それは後藤真希の登場も「LOVEマシーン」とセットでなければありえなかったことを考えればわかることです。
 と言うことで言えば3月23日発売のモーニング娘。の新曲「まじですかスカ!」に全てはかかっているはず…なのですが、今年に入ってからの、Hello! Projectにおける、つんく♂楽曲を聴くにつけ、なかなか期待感が高まらないのは否めません。
 例えばスマイレージの新曲は駄作とまでは言いませんが…。

 2001年までの、つんく♂は本当に神がかっていました。
「神」という言葉は本来、このような事態に対して使用すべき言葉で、当時の彼の偉業は少なく見積もっても日本歌謡史の1ページを燦然と飾るものだということを強調しておきたいと思います。でも、それ以降はといえば、ご存知の方も多いように、玉石混交が激しくなり、だんだん石の混ざりぐあいが多くなり、そのうち玉を見つけるのが非常に難しくなってしまいました。
 つんく♂Hello! Project全体の真のプロデューサーではないことはファンの間では大分、以前から認識されていて、現在、所属事務所アップフロントグループ会長である山崎氏に人気低迷の責任を負わせる議論なども活発になってはいます。
 しかしながら、例えば同じく総合芸術・娯楽作品である映画と比較して考えてみれば、山崎氏が間違いなくプロデューサーではありますが、つんく♂は「監督」であり、作品において最も重要な人物です。しかも「脚本」にもあたるような作詞作曲も務める、製作の大きな部分を担っている存在です。
 かつて近田春夫氏はつんく♂小室哲哉の「プロデュース作品」について「あれは本来、つんく♂フィーチャリング○○やTKフィーチャリング○○と言う風にして発表すべきものだ」と書いていたように記憶していますが、実際のところHello! Projectの2005年までの楽曲は、ほぼ、そういう作品で占められていました。
 後述するように、その状態に変化は見られますが、未だHello! Projectの楽曲の多くは「つんく♂feat.モーニング娘。」、その他もろもろであるのは変わらず、依然として量産される楽曲の多くは駄作の山となって行きます。

 ここまで検討した上で、責任を追及されなければならないのが、つんく♂の量産態勢が高いレベルで続くと期待してしまい、タレントの増加に対して製作陣の増強を図らなかった事務所の経営陣です。
 Hello! ProjectのタレントたちはRestructuringを繰り返してたのに対して、製作陣は旧態依然であった…これも構造改革を謳いながら、既得権益は維持され、真の変化に対応できずにいる日本の縮図のようにも見えてしまいます。

 とは言え、流石に2006年ごろから、つんく♂の楽曲だけでは駄目であることに気がついたのか、Hello! Projectは新たな企画に乗り出します。それはつんく♂製作ではないアニメ・ソングです。
 月島きらり starring 久住小春 (モーニング娘。)に始まり、その派生ユニットきら☆ぴかMilkyWay、更にはBerryz工房℃-uteの有力メンバー3人によるBuono!、現スマイレージのメンバー3人を含むしゅごキャラエッグ!があり、このスマイレージの3人はリルぷりっとしても活動しているのが現在の状況です。

 正直言って、これらの作品の方が近年のHello! Projectの楽曲では聞く価値があります。
 外観が「子供向け」であることに寛容になれるリスナーであれば。
 中でも名曲と言えるものを2曲挙げておきましょう。

 Buono!については人気の高さを反映して企画グループから発展し、単独ライブを行うまでになっています。
 この流れの中で、ようやくHello! Projectから、つんく♂プロデュースでないかたちで初めて真野恵里菜がデビューしました(楽曲は同じ事務所のKANが担当し、2008年にインディーズ、翌年メジャーよりシングルを発表)。
 しかしながら、ここにも「ブレ」があり、両者とも、つんく♂作曲のシングルも出していたりしまして…またこれが駄目なのですね。とは言え、つんく♂楽曲が昨年までは続いたBuono!の新曲が外注に戻ったことは明るい兆しでしょう。
 また一番大きな出来事はHello! Projectの研修生組織ハロプロエッグ出身者であり、前述のMilkyWayのメンバーでもあった吉川友がユニバーサルJの完全外部制作によりHello! Projectではないかたちで3月30日にデビューすることになったことです。

 これは贔屓目ではなく現在もHello! Projectのタレントの人材は非常に豊富です。しかしながら、かつてのキッズ世代も既にティーン・アイドルとしては最後の局面に来ている18歳以上のメンバーが増えてきています。今年中に手を打たなければ確実に先細りは目に見えていると言って良いでしょう。一般層から見放され続け、人材はAKB連合に取られ、Hello! Projectは維持できなくなるでしょう。
 その前にやるべきことは残っているはずです。それには第一に、つんく♂を「総合プロデューサー」から解任するべきでしょう。そのためなら最終的にはHello! Projectの看板自体に別れを告げることも、一つの道ではないかと思うのです。