週末ヒロイン・ショー ももクロちゃんと握手 約束だっ!?

「週末ヒロイン」をキャッチフレーズに活動する新鋭アイドルグループ ももいろクローバー。明後日の新曲発売に合わせて先週土曜日からの9日連続公演含むツアーを敢行中の6人ですが、とりあえず東京に足を伸ばせる方は体験する以上の方法はないのですから、ちょっとでも興味のある方はオフィシャル・ホームページでスケジュールをチェックして参加するのに勝るものはありません。特に4月10日でサブリーダーの早見あかりが脱退するので現メンバーでは、この初春の活動が最後なのですから。
 東京へのアクセスが困難な方もUSTREAMのアーカイブやゲリラ的なツアー中継(今日も8時ごろから行われていました)で体験できます。スタッフのtwitterをチェックしましょう。

 以下は二の足を踏んでいる人に多少でもガイドになればというのも込みで、筆者自身の、ももクロ体験に沿って彼女たちのパフォーマンスについて語ってみたいと思います。
「ある程度、アイドルソングに興味があるぐらいの音楽好きの30代後半男性」というサンプル。


ももクロの名前を初めて知ったのは多分2009年。
 manolinさん主催の「うまのりラジオ」にゲスト出演したPerfumeの古参ファンであるqido氏@hypeが取り上げていた。その流れでデビュー曲「ももいろパンチ」のPVをチェック。でも「トラックが和風テイストなのは変わってるけど良くあるジュニア系アイドルグループかな」ぐらいの感想。


■2010年5月「行くぜっ!怪盗少女」で本格メジャーデビュー。

 楽曲の面白さとアクロバティックな振り付けに多くの人と同じく鮮烈なインパクトを感じる。メンバーのキャラクターについて認識しはじめる。ただカップリングの「走れ」の方は、やっぱり「良くあるアイドルソング」と思って、様子見。現場には行かず。


■同年夏「ココ☆ナツ」を発表(この時点では未CD化)。
 YouTubeで夏イベントでのライブの模様を見て、セーラーの上にビキニという衣装と奇抜なパフォーマンスに若干「引く」。


■同年10月「ピンキージョーンズ」PV公開(シングル発売は11月)。

 面白いとは思ったものの、個人的には若干「???」。逆に比較で「怪盗少女」の評価がウナギ登りに上がる。ただ同曲の歌詞に織り込まれているメンバー名前まで覚えはじめる。他グループ目当てで視聴していたTV番組「アイドルちん」での活躍で、かなり認識を深めるが、筆者の年齢からすると子供すぎるので、アイドル的な興味は感じず。


■2011年1〜2月新曲「ミライボウル」の情報が公開され始める。
 途中で早見あかり脱退発表。PVで全貌が判って大いに感心する。


■同2月25日神聖かまってちゃんとの2マン・ライブのニコニコ生放送中継をタイムシフト視聴。 1曲目の「Chai Maxx」から完全にやられる。


必見のライブ動画全編(多分、期間限定)


 何で、今回、そんなに感動したかといえば、今までYoutube上にあった公式、非公式のライブ動画で見た限りでは、ほとんど口パクだったのが、今回は生歌をかぶせて来たというところ。このブログで言って来た「チアリーディング的なパフォーマンス」から脱却しはじめたというところにです。

 もちろんAKB連合に比べれば元々、メンバーのキャラは立てて、入れ替え不可能なことはやっている。でも、それでは「Perfume以降」のパラダイムを超えられていなかった。でも、今回は、それを乗り越えてしまったことに感動したわけです。

 もう一つは多くの人が感心している30分を超える7曲連続パフォーマンス。曲間はあるものの、この持続性がディスコ〜ハウス的な空間を出現されるものだったことです。それは「お祭り」というよりも本当の祝祭空間でした。
(ハウスと祝祭空間については高橋健太郎氏の名著『ポップミュージックのゆくえ〜音楽の未来に蘇るもの』を参照のこと)。

ポップミュージックのゆくえ 音楽の未来に蘇るもの

ポップミュージックのゆくえ 音楽の未来に蘇るもの

 BPM120を大きく超えるビートを基本とする90年代以降のサウンドを持つ楽曲群に、演者も、鑑賞者も、没入すことによって正に「トランス」状態になってしまった。ここ最近の盛り上がりも、これで多くの人が「中毒」になってしまったのが原因のように思えます。


 ただ、こんなガチンコのパフォーマンスが現在のアイドルという形態と共存できるのでしょうか。1日2回公演は当然、イベントになれば握手会にも体力を傾けなければいけないのが、このビジネスです。
 筆者は先の土曜日に立川のスーパーの屋上で行われたイベントに初めて参加してきました。まだ公演が残っているので詳しい内容は書きませんが、まさに「ヒロイン・ショー」と言うべき、ケレンたっぷりの演出で素晴らしいものでした。とは言え、当然、7曲連続なんて無茶はしません。その分、いろんな手段を使って、後ろの席にまで近づいてくるサービスぶりで、巡業としては優れたものです。


 しかし、その先の「本当のガチ」があることを、ファンはもう知ってしまっています。
 彼らは「今、会えて」握手できるアイドルとしての彼女たちのままでいて欲しいのか、それとも前記のようなガチンコを常とする稀有なグループであることを望むのか。答えは現時点では二択ではなく、その中間かもしれません。
 ただ個人的には、出来るだけ早く握手会のようなサービスからは卒業して、ガチンコの勝負ができるような環境が出来るよう、多くのファンを獲得してもらいたいと思わずにはいられないのが正直なところです。