ヤンキー、カムバックホーム!〜「マジスカ学園2」批評2編


 前回書いたロックテイストのアメリカンポップス・リバイバルの一例でありAKB48の現時点で一番の人気曲。そして、おそらく10年後の将来でも代表曲になるんじゃないかと私は思っていますが、実際のところ、音楽的路線としてはドラマ主題歌「マジスカロックンロール」を引きつぐものだったりします。

 もちろん「ガチ」な総選挙で決まったので意図的ではないでしょうが、センターを務めた大島優子のキャラクタにも非常にマッチしていました。言うまでもなくオートチューンで調整された歌声にあってるわけではありません。板野友美の方が世間的にはヤンキー人気が高いように見られているかもしれませんが、本当の「ヤンキーの魂」を持っているのは優子と篠田に間違いありません。
 さて総選挙の結果に照らし合わせて『マジすか学園2』を観るのも、なかなか味わい深いのですが、こちらは『2』終了後に控えてるだろう映画化の予想(妄想?)に残しておくことにして、シーズン2自体について現時点で再考してみましょう。


 前回の時評での予想とは異なり松井Jは完全に「センター」と劇中で呼ばれてしまうキャラクタになってしまいましたが、その分、魅力というか「強さ」が薄れてしまった感はあります。それというのも結局は総選挙の結果が出ないままの物語展開だったからで、センターが勝利した大物はチョウコク(秋元才加)という、まあ「安牌」と思われていただろうところだけ。それこそ他はコッパに対して驚異的な強さを見せるのみだからです。
 前田敦子がそれこそ「何だか良くわからないけど強い」のとは、ほど遠いところ。
 シブヤも本当は、もっと闘って勝つような場面が多くないといけなかったんじゃないかと思うですが、新四天王で倒したのは歌舞伎シスターズだけ。
 多分、このシーズンで一番、得な役回りなのはコブシでは争わないネズミと、完全に実力発揮する前に刺されてしまったゲキカラということになりそうです。

 ようやく、残すところ2回の最新回で前田が帰ってきましたが、またまた、おたべに「もう少しマジ女を守ってくれ」と頼む、引き延ばしぶりで、このままカタルシスなしで最終回まで進む、あるいは最終回も終わってしまうかなと言う予測もでき、中上健次の未完の武侠小説『異族』並みの停滞感です。
 
 正直、あとは最後の大物である増田、梅田のDiVA組がどう登場するか残っている興味かも。中心のプロットとしては、最終回、最強の前田が全てのカタをつけるために他の11回あるというシーズン1の1回分を12回に引き延ばすような燃費の悪いことをしているので、そこを観ても「駄作」という評価しか本シーズン2については下せないでしょう。
 しかし、前回触れたように裏プロットであり本当の中心プロットはセンターのストーリー。なんですが、前回よりも明確になってきたのはセンター(ヘルマン・ヘッセヲタ)とネズミ(古典音楽ファン)の屈折した友情の物語だったんだな、というところです。


 結局は一番闘っているのはキャラクタ同士ではなくて、キャラクタが織り成す複数の物語であり、その勝負を判断するのは観ている私たちでしょう。
 これらの物語を媒介に、それこそ昨日のTBSラジオ「タマフル」での高橋芳朗氏のように「ア↑コガレ」のシーンを紡ぎだしながら楽しむのが通というもの、だとは思いますが、ここまで文脈に依存するように(ハイコンテクスト)なると、初心者というかヤンキー層には優しくないなあ、とは思いますね。
ヤンキーソウル」は公式動画がないしー!