アイドル戦国時代は起こらなかった

 ジャン・ボードリヤールが湾岸戦争について言ったように?
 というのはボードリヤール読んでないから冗談ですが、ただ、かつて「ザ・ベストテン」で多くのアイドルが出演して順位を競っていたころのような勝負は現在ありません。というかアイドル以外とも勝負してたんですけどね、当時は。
 「BUBKA」誌などは、昨年のアイドルユニットサマーフェスティバルでのSKE48スマイレージももいろクローバーbump.yの競演から「戦国時代」というアングルを強調し出したわけですが…その場の競い合いはあったでしょうが、結局はその「現場」としての面白さだったんじゃないかと、思われてなりません。


 今年も行われたTokyo Idol Festivalについても、ファンは真っ当な音楽フェス的楽しみ方をしていたんじゃないかと思います。
 そもそも、さくら学院と東京女子流とが交流したりして…全然、戦国時代じゃないじゃん!

 ももクロスマイレージにしても、前述の競演から親交を深めていたようで、ももクロから脱退した早見あかりさんがスマイレージの汐博でのライブを観に来ていた、というような話もあり。
 
 さてショービズとしての女性アイドルですが、AKB連合以外はファンの母数として、それほど大規模には拡大していないじゃないかな、という見方もできるように思えます。
 ももクロが一番拡大してアルバムが3万枚ぐらいですから、ファンの実数は2万人前後というところでしょうか。それでも多分、春ごろは4桁だったんじゃないかと思います。桁は確実に1つ上げてきたところ。
 ただ、やっぱり5万枚ぐらいは売りたかったところなんじゃないかとも、考えられるところで。

 SKE48で言うと前作が20万枚ほどから最新は40万枚。大体、平均1人2枚を買っているとすると10万ぐらいファンが増えているのか…というと良く判りません。それでも数万人以上の単位でファンを増やしています。というかAKB、SKE、NMBすべて追いかける人が10万人以上増えたと言う感じなんじゃないかな、とも推測されるところで。というか、結構、周りにいますよね。乃木坂ぐらいまでの話題も出す人が普通にオフィスに。
 それだけ参加するのには、AKB連合は今、敷居が低いとも言えます。だって、万単位の人が握手会来てれば、自分が特殊には感じないでしょうから。列があったら並んでみようかと思うのが日本人。
 TIFにしても、今回の来場者数はおそらく一日3〜4千人ぐらいなんじゃないですかね。ま、それ以上、来られても困るだろう開催規模だったんですが。

 去年の「24時間テレビ」でのAKBとモー娘。の競演みたいなものも、今年は無かったと言うところで、派手さを欠いているところ。というか、もうAKBは自前で乃木坂46というライバルを作ってしまっているので、「戦国時代」というアングルには、もう乗ってこないでしょう。
 スターダストのエビ中勝手にアイドル戦国時代の終わりを宣言してしまったところで、実は、未だにそのへんを過剰に意識してるのはハロプロと「BUBKA」だけなんじゃないかなんて、思ったりもします。

 ただ、やっぱり競演は見たいですよね。9月26日の「HEY! HEY! HEY!」はアイドル特集なんですが、ハロプロは出ないみたいなんですよねえ。もっと権力を行使できるところじゃないと無理なのかな、ももクロとAKB連合とハロプロを揃えるには。
 そういうことでいうと「実は強烈なサブカルチャーの伝統」があるNHKが狙い目だと思うんですよね。「BUBKA」が「アイドル戦国時代の開戦」と位置づけてるのが昨年の「MUSIC JAPAN」のアイドル特集だったんですが、「実は、こういうことをやるNHK」なんですよ、ということに皆さん気づきましょう。
 NHKも「今年もAKBとPerfumeぐらいしか紅白に出せないから、アイドルファンの視聴者のガス抜きをしないと」と思って企画してくれないとも限りませんよ。みんなでNHKに「アイドルフェスやってくれないかなあ」とか言って、AKBとハロプロを同じ舞台に立たせられたら…。

 それから「地方で頑張ってるローカルアイドルの特集やってほしいなあ」なんて要望にもNHKは弱いかも。それで、NMBあたりをNegiccoドロシーリトルハッピーと同じ舞台に引っ張りだすとか。
 そんな「NHK秋のアイドル祭り」なんていかがでしょうか。