清く正しく超カッコよく〜さくら学院の決して黒歴史にならないSCHOOL DAYS

 またタワレコ社長に先を越されて、くやしいでっす!
 「タモリ倶楽部」に出演するという時点で、さくら学院(略称さ学)がフィーチャーされることは予想しないとなあ。
 ということで放映がまだの地域もあるので、サクっと、さ学の魅力をご紹介。


 私も去年、最初に名前を聞いたときは「アミューズも学園ものアイドルやっちゃうのかあ」と、ちょっとシラケタ感じで思ったものでした。でも、良く知ってみたら、これが吃驚。
 中学卒業と同時にグループも卒業する「成長期限定ユニット」というコンセプトを基本として、他の学園ものアイドルグループとは違い、さ学はほとんど「本当の学校」と言って良いような存在に、どんどんなりつつあります。「アイドルで大事なのは設定」(バニラビーンズ レナさん談)としたら、これほど判りやすく、とっつきやすい(ローコンテクストな)グループもないかもしれません。
 それを三つのキャッチフレーズで説明しましょう。


清く!
 さ学が他のアイドルと一番違うところは握手会をしないというところ。当然、水着とか露出の多い衣装なども無し。そういう風俗業とも隣接しちゃいそうな活動は皆無です。
 それから義務教育期間中なので、黒髪とかは強制ではなく普通ですし、恋愛スキャンダルも、まず起きにくいという点もファンには嬉しいところ(?)。
 まあコスプレじゃないリアルな学生だからこその、輝きというところでしょうか。
 ユニバーサルに移籍して、CDの売り方の点で、清廉さに若干曇りが無きにしもあらず…という点はありますが、まあ「接触はなし」という大事な一線は守ってくれているので大丈夫でしょう。


正しく!!
 さくら学院の曲の歌詞やステージでの立ち振る舞いなどを見ていると、一種の自己啓発みたいに、一瞬感じられてしまうところもあるのですが、これは自己啓発というよりも、伝統的な教育哲学と言った方が良いものです。
 ですから、じっくり鑑賞すると素直に心の中に入ってくるんですね。この点が48グループやハロプロを始めとするアイドル曲だけではなく、現在、結構たくさんの日本のポップスが持ってしまっている「スピリチュアル」な要素(闇雲に「感謝」を求めたり)から、独立したスタンスを保っています。

 またCDのキャンペーンと恐らくTV番組の制作も関連してではありますが、「教室エンターテインメント」と称して、メンバーと一緒に色んなジャンルのことを楽しく勉強するイベントを今日から開催するという、「どこまで学校という基本コンセプトに忠実なんだ!」という展開もあったり。大体は、学園ものアイドルって勉強しないで林間学校とかのイベントを打っちゃうんですけどねえ。
 そんな路線や実際のパフォーマンスを観ても、やっぱりしっかり芸能のトレーニングを積んでるんだなあ、という正統的な育成プロジェクトとしての基本が見えてくるところ。


超カッコよく!!!
 かと言って、それだけでは学校が詰まらないのは当然。何より芸能であることが前提なんですから。その点、まず曲がカッコ良い。
 最近、音楽的には若干、傾向が変わってきているのですが、ファーストアルバムは、基本的に英米の所謂カレッジロックのサウンドを基本にしていて、非常に楽しめます。
 実はメロディラインは童謡といっても良いような単純なドレミの歌で、歌唱も非常に素直なのに、それをメロコア的に料理したり。

  
 もっと高度な音楽的展開としては部活動(グループ内ユニット)のバトン部Twinklestarsや重音部BABYMETALなどが更に面白いんですが、長くなるので別の機会に。

 それから、ステージでの振り付けが、とっても素晴らしいです。先生がPerfumeで有名なMIKIKOさんなんで、当然ですけどね。


 ということで、結構、娘や親戚がアイドルになりたいと言い出したら、さくら学院に入れたいと思うだろうようなグループなんですが、実際のところ、各メンバーの芸能IQは極めて高い、超エリート校なんですよねえ。
 この点は現在出演中のNTT東日本のCMのメイキングでメンバーのキャラクタをチェックしてもらうと一目瞭然かと思います。


 実際のところ、こういうジュニア系のアイドル活動というのは将来、芸能界の一線で活躍できるようになった時に恥ずかしいものになったりしがちで、彼女たちの先輩のPerfumeも「ぱふゅ〜む」名義の諸々のものは、まあ黒歴史化してきてしまうわけですが、さ学の活動は、そうならないだろうぐらいの高いクオリティを誇っています。

 ということで多くの人たちに彼女たちのことを知ってもらいたいんですが、とは言えアミューズも、さ学自体で大ヒットは狙っていないだろうなあ、というところも良いんですよね。まあ、何より「人気子役は大成しない」というジンクスもありますしね。