フリースタイル17(国民的アイドルというもの)

 「国民的アイドル」というものについて考えてみる。


 今やマスコミでも頻繁に使われるようになった「アイドル戦国時代」というのは、そもそもAKB48が台頭してきて、弱体化したハロプロの覇権を奪った(奪おうとしている)ところに、ももクロが更に下克上的に加わった状態だったんじゃないか、というのは、ちょうど、その直後ぐらいに書いたことなわけですが、その覇権というのは、まあ「国民的アイドル」というものだろう、と思うわけです。


 今更に気がついたのですが、AKBは今まで「全国握手会」は盛んに行っていたんですが、本格的な全国ツアーというのは今度行われるのが初。昨年は震災があったとは言え、「国民的アイドル」としては、かなり遅いでしょう。モーニング娘。レコード大賞最優秀新人賞と紅白出場の後に直ぐにやってます。
 その原因は、とりあえずは人数が多いことがあるんでしょうが、ただ大人数の劇場型アイドルとしてのAKB(その他、姉妹グループ)は「国民的アイドル」よりもローカルアイドルに近い、と言えるかもしれません。


 かたやモー娘。とAKBの間にブレイクしたアイドルにPerfumeがいるわけですが、あれだけ人気が出ても彼女たちには、余り「国民的アイドル」という印象を受けません。個人的な主観ですが。そのへん「Perfumeはアイドルじゃない」とか「あれはサブカルだ」とか、まあ色々という方々はいるでしょうが、それとはちょっと違います。
 それよりも「日本を代表するガールグループ」というのが、しっくり来ます。
 最新アルバムのタイトルもそんな感じを表しているような。「レペゼンJPN」というか。


 彼女たちの同郷の先輩の曲に「J−BOY」というのがあって、またJ−POPという呼称は、その曲よりも後に生まれたものなんですが、そういうのとも違った、明確な国としてのJPN。でも、それはNationとはちょっと違う国だと感じます。
 JPNというのは国(Country)コードでNationを表しているのとは、ちょっと違うものです。サッカーファンなら判るように大英帝国イングランドスコットランド北アイルランドがあって、それぞれ国コードで表せます。香港もそうですね。
 これも以前、書いたこととも重なりますが、Perfumeの場合は海外進出するというよりも、否応なく日本を代表する「存在の一つ」になってしまっているような感じがするわけです。


 ちょっと前の回の「うまのりラジオ」さんで、LinQの話題が後半にありまして、「地方アイドルコンサルティングとかあるのかな」っていう話がありましたけど、結局、今のローカルのグループアイドルはAKBについての各種研究を元にやってるんだろうなあ、と思います。後は、まあ水商売の伝統的なノウハウと、というか…(苦笑)。そういう点でもステップワンは、そこからは出発してないんで…という話は置いておいて。


 本格的な「ローカルアイドルブーム」がマスコミを巻き込んで起こりそうな気配ですが、ムーブメントとしての現実の動きは、戦国時代よろしく、国民的なアイドルの座を争うというようなものではなく、また従来の「ご当地」とも違った、地域を「レペゼン」しながら、個々が活動するものになって行くように、直感的に感じます。
 出場者にはローカルアイドルも多かった先日の「アイドル横丁杯」よりも、ステータスの面では低いと言わざるを得ないグループが集まった『3.11三陸鉄道チャリティーLIVE』の方が、Yahoo!ニュースで検索した限り媒体本数としては多いというところからも、社会的に意味の大きい、フレンドリーな地域交流の方が報道するバリューが大きいということは、言えるのではないでしょうか。