サヨナラした大切なヒトを忘れない〜ドロシー随想メモ(1)
未CD化曲「Life goes on」が配信という形ではあれ、ようやく音源化されたのを機会に、今まで書いてなかったドロシーリトルハッピーの楽曲面について書いてみたいと思います。本当は、もっと、まとまったコラム的な文章にしたかったんですが、とりあえずはメモのというかたちで。ということで文体を変える。
まずはアレンジが初期型だけど「Life goes on」(以下「LGO」)の東京初披露時の動画。
本曲の「テーマ」と言われているものを最初の置くのは止めて置きたいというのが個人的に思うところ。それが例えドロシー自身の口から語られるとしても。
それよりも、この曲自体を、そして特に坂本サトル氏による他の楽曲とを合わせて見えてくるものを考えることの方が「意味」があると感じる。
そもそも坂本氏による歌詞世界は、そのような単純化からは遠い言葉から成り立っている。
例えば曲調的にも「LGO」と近いデビュー曲「ジャンプ!」では
あの時泣いたのは気付いてしまったから
欠ける月のように消えてく想いもあるって
と歌い出され、二番では対比的に、
あの時泣いたのは気付いてしまったから
月が満ちるように重なる想いもあるって
と、月の満ち欠けが、微妙で複雑な感情のニュアンスに直喩され、涙も単純な悲しみの表出ではないものとして描かれる。
括弧を開いて、口語的に言えば、ドロシーリトルハッピーのメジャーデビューのミニアルバム、デモサヨナラ。
グループ名に対して、今流行りの多幸感とは、全く違ったセンチメントを歌った曲ばかり。
まあ、そんな分析も「ソウル17」の歌詞からすれば、
簡単には教えないわ でも本当は単純なの
ということになるけど。
だからこそ「LGO」の
とんでもない 始まったばかりなの
人生は思い通りには行かないって
落書きにだって書いてある
という、ざっくばらんな軽めの歌い出しも、最後には判るようなへヴィーな現実との対比が強く映し出されることになる。
本当はね そりゃまあ わたしだって
モチベーションがっつり下がっちゃって
あーあ 眠れない夜もあったわ
というのも明らかな強がりのニュアンスが込められた口ぶりだ。(続く)