音楽シーンの中の女性アイドルを展望する(FS34)

 ようやく個人的なアイドル熱も落ちついて来たところなので、いつも以上に俯瞰した視点、音楽シーン全体から女性アイドルのことを、ちょっと考えてみようかと思います。
 最近のアイドル商法からするとCD売上のデータは、なかなかファンの実数を反映しないのですが、とりあえずはここから始めてみましょう。今年のオリコンの売上上位50位のデータを使いますが、著作権上の問題から実数は書きませんので、ご了承ください(興味のある方は有料で調べられます)。


 まずは「商法」が、かなり影響するシングルから。
 こちらは完全にAKB48が断トツ。2番手の嵐をダブルスコアで抑えています。更に姉妹グループのSKEが嵐に迫る勢い。続いて同48グループNMBとなります。その他も関連グループの乃木坂46、ジャニーズ、K−POPが占め、EXILEを含めれば完全にダンス&ヴォーカルグループ(と、関連のソロ)が市場を席巻している状態です。


 対して、アルバムはどうかというと、こちらもAKBがミリオンを達成しました。これも「商法」が大きく影響してるのは明らかですが、1、2位のミスチルのアルバムも含めて、桑田、コブクロ、ゆずなど、ベスト盤がチャート上位に多いことを考えれば、EXILEと共にトップに立っていると考えて良いでしょう。SKEも10万枚以上と健闘しています。

 ということで完全にアイドルブームと言われているものがAKBブームであることが明らかになります。その他の有力なグループも音楽シーン全体からすれば第2グループでしかありません。2番手で一番、成功しているのは、ももいろクローバーで、昨年、発売されたアルバムが現在、9万弱を売り上げ、出荷ベースでシングルについても10万レベルに達していると考えられます。以前、書きましたがバズワード的に「アイドル戦国時代」と言われた新人アイドルグループ乱立のシーンを制したのは彼女たちでした。
 ただし、まだ「テッペン」に届くのには今、一歩。でも、近いうちに第1グループに入る可能性は大でしょう。


 ということで後半は今後のYOSOUというところを。
 前田敦子卒業を受けてAKBの売上が右肩下がりになるのは確実です。ただし最新の「ギンガムチェック」の動きを見ていると、それほど極端な落ち込みにはならなそうだ、というところも見えます。嵐にダブルスコアをつけているところから見ても、シングルでは今後も順位的には強さを見せるでしょう。グループ全体で見ればSKEが確実にキープし続けて、最新シングル「キスだって左利き」では更に初動のところで若干の伸びがある気配も注目点です。AKBのシングルが実は、48グループ全体の選抜化してきているのとは違って、SKEの場合は純粋なグループの結果、逆に見ればAKBの伸びにSKEメンバーが貢献している部分も大きいのは見逃せません。もちろん、これはNMBについても同じことが言えます。
 つまり48グループにおけるSKE、NMBへの依存度が、相対的には確実に拡大していきます。その流れでHKTをどう大きくしていくかというのも重要になりますし、これは名古屋、大阪、福岡のローカルなアイドルシーンにも影響を与え、その他の地域にも「間接的に」波及していくでしょう。
 この潮流の中では来年も48グループがシングルCDの上位を占めることは、ほぼ確実です。
 
 ただし繰り返しますが、これは「商法」の影響で、それが顕著ではないアルバムの方では話が異なります。
 今まで触れませんでしたが、いわばアイドルとアーティストの中間にいるPerfumeを見れば、シングルも10万を越えますが、アルバムの売上は確実に音楽シーンで第一グループの存在です。次にAKBと、ももクロがアルバムを発売する時には、興味深い「勝負」になると思われます。
 更には、ももクロに続く第2グループのモーニング娘。、SUPER☆GIRLSについてもシングルでは「商法」により、ももクロを凌ぎますが、実質は次のアルバムで考えるべきだと思います。
 例えばモーニング娘。のシングルでの売上は「商法」により回復してきていますが、アルバムで10万枚以上となるとオリジナルでは2003年の『No.5』(後藤真希在籍時のラスト)にまで遡ります。最新のアルバムも、まだ遠く及ばないところですので(現時点ではスパガのアルバムの方が「商法」の影響であっても売れています)、もう一段階、何かが無いと難しいところ。そろそろベスト的なもののタイミングかとも思えますが…。