風よはやく〜「会いに来てくれるアイドル」の時代

 さて一回、特報を挟みましたが、その本編は、またということで来年のYOSOUの続き。


 来年のアイドルシーンは恐らくは「地方の年」であることは、ほぼ確実だと思われますが、それは「ローカルアイドルの年」ってことじゃなくて、メジャーなアイドルも、どれだけ国内の各地域を回れるのか、ということだと思います。紅白出場も決まった、ももいろクローバーZは、この勢いで大規模な全国ツアーを仕掛けてくるのは間違いないでしょう。
 そこで驚いたのが、愛媛発のグループ、ひめキュンフルーツ缶が来春の全国ライブハウスツアーを決定したこと。先ごろの11月28日にはタワーレコード渋谷のリニューアル記念イベントに出演して生バンドスタイルでのライブを行い新たな展開を魅せた5人組の彼女たちですが、小規模編成の機動力を活かして勝負をかけてきたな、という感じです。

 
 地域発のグループとしては仙台のドロシーリトルハッピーが今年は東京だけでなく名古屋、大阪、そして先日は福岡のイベントに参加して(名古屋はワンマンも)、本格的な全国展開への第一歩を進めたところ。今月5日に発売となる新曲「風よはやく」は遠距離恋愛をテーマに地域発アイドルとファンの関係を重ねた巧みなコンセプトと、フォーキーなメロに四つ打ちというトレンドに合致したサウンドが見事な楽曲。
 事務所公式の動画がレコード会社の著作権処理に引っかかって削除と言う「何とも」な状況なので、まあ仕方ないゴニョゴニョな動画で、どうぞ。

 正直、総合的な観点からは地域発アイドルではドロシーが一歩リードしていると思ってますが、そのへんは、また別途。
 とりあえず、上記のような機動性の点では、売上で先行してはいる大規模なLinQよりも5人組のドロシー、ひめキュンに分があるのは当然のところです。
 メジャーなグループでも5人組は多くなってきていまして、東京女子流はもちろん、活動歴は既に長い9nine、同じ事務所の新人ベイビーレイズハロプロで言うと、もはや「ベテラン」の℃-uteも。それから大阪在住で今年ソニーからデビューのダンシング・ドールズも5人組。ドロシーの後輩グループParty Rocketsもメンバー脱退というマイナス要因からですが5人組になりました。
 あまり大規模な投資はリスクが高くなる昨今の情勢からすると、インディーとメジャーを問わず5人以下のグループは更に増えてくるかもしれません。もちろん突出した才能のソロ歌手にも期待です。


 「会えるアイドル」というライブコンテンツ重視の流れの先に、このような小規模グループで「会いに来てくれるアイドル」が生まれるは当然の帰結かもしれません。これをトレンドとして考えると、トップに君臨する48Gや一定の集客と一日複数公演が行える「体力」のあるモーニング娘。などとは違い、未だ新人のLinQや、iDOL Street(avex)所属のSUPER☆GIRLS、Cheeky Paradeは、ある種の「人海戦術」でCDの売上が確保できても、ツアー全国展開が伴わない場合、ライブによる浸透度の点では、ちょっと分が悪くなる危険性はあります。

 
 注目の地域はというと、個人的には仙台周辺〜東北なんですが…、まあ名古屋圏でしょうね。東京と大阪からの距離の利点からして。
 ももクロと同じく紅白初出場を決めたSKE48が最大勢力で、実は売上維持の点では48G内優等生でもあり、今後も48Gの投資が行われそうなのも大きなファクターですが、スタダの名古屋発アイドルで、ももクロの後輩チームしゃちほこもメジャーデビューして厚みを増しています。またiDOL Streetの研修生であるw-Street NAGOYAは同じスト生の他地域に比べてもアイドル性が高いと評判です。
 いわゆるローカル&インディーアイドルのカテゴリーでは、「つんつべ」出演などで東京圏でも御馴染みなOS☆U、また寿司屋が運営母体というアイドル教室など福岡に次ぐ規模なのではないかと考えられます。正直、こちらのインディー系から、より大きな展開をするグループが出てこないのがマイナス要因ですが…。東京でのライブの方が多くてローカル色が少ない、しず風&絆が地元のイベントを増やしたり、東京や大阪を始め他地域のグループがツアーしてくることでシーンがメジャーのみならず更に活性化することは、考えられるのではないでしょうか。ちょっと近畿寄りですが滋賀発のFrilL FleuR(愛称フリフル)近江八幡駅前のイベントスペースなどで定期公演をしているのも注目点。
 フリフルは曲が結構、私好みなので動画も紹介しておきましょう。

 さて、このような地域主体のライブコンテンツに加えて、更にはソーシャルメディアと分散型のネットワークと言うのも注目すべき観点なのですが…、ちょっと話が大きくなって今は手に負えないので、またの機会に。