手作りでも本格派なアイドル キャラメル☆リボンの魅力

 着実な歩みを進めている大阪発の3人組アイドル、キャラメル☆リボン。各方面で高い楽曲的評価を受けながらも今まで通販とイベントでの手売でしか入手できなかった彼女たちのCDのうち2ndシングル「恋のmusic/Shining Day」がタワーレコードで12/5より大阪と東京の店頭およびオンラインショップで販売開始、12/8(土)には渋谷CRAWLにて単独イベントを行い、会場満員の成功を収めました。

 キャラメル☆リボンは大阪千林の芸能スクール兼プロダクションESSEアカデミーから生まれた女子中学生トリオ(ESSEには『大!天才てれびくん』に出演している鎮西寿々歌も所属)。
 大阪には東京と殆ど変わらないほど多様なアイドルシーンがある一方で、東京では相対的に注目度が低めな芸能スクール系のイベントが、かなり厚みを持っているようです。(私もウェブ上から情報得ているだけですが)後者は基本的に本格的な歌手を目指す人材の「卵たち」による発表会やコンテストなので、特にアイドル的なパッケージングはされていないものが多いですが、見る側からするとアイドル的に楽しめるところがある。それに加えて、キャラメル☆リボンのようにアイドルも中には存在しているという感じでしょうか。例えばSCANDALDancing Dollsの出身校であるキャレスは基本的に本格的なアーティスト志向のスクールですが、ESSEについては子役のプロダクションでもあるためかキャラメル☆リボン以外のグループもアイドル方向です。
 キャラメル☆リボンは、そのような大阪のスクール系のシーンを出発点として、広くアイドル的なシーンに展開しているトリオと言えるんじゃないかと思います。そうは言っても芸事には厳しい土地柄、3人それぞれがソロを取れる力強い歌唱力としっかりしたダンスのスキルを兼ね備えています。

 ESSE関連の地元イベント以外では、トップクラスのインディー系アイドルが出演する「ヤンヤン歌うステージ」を中心に出演。高レベルな楽曲と楽しいステージングがコアなアイドルファンの間で評判広がり、夏にはビックイベントTokyo Idol Festivalに参加しました。


○メンバー

上野天音(あまちゃん) 1998年6月25日生
イメージカラー:ピンク
キャッチフレーズ「大阪下町のドジっ娘


吉仲葵さん(あーちゃん) 1999年3月4日生
イメージカラー:黄色
キャッチフレーズ「アイドルが好きすぎてアイドルなっちゃいました」


深田聖奈(せーな) 1997年9月27日生
イメージカラー:水色
キャッチフレーズ「おしゃれ大好きラーメン大好き。リーダー」

○活動歴
2009年1月結成。9月にはフードテーマパーク「なにわ食いしんぼ横丁」PRユニットの食いしんぼガールズの初代メンバーにグループごと選出。「なにわのモーツァルト」ことキダ・タロー作曲のPRソング「なにわ食いしんぼ横丁」はデビューCDにも「虹色」と共に収録。

その後メンバーチェンジを経て、現編成で2010年8月に初CD「虹色/なにわ食いしんぼ横丁」を発表(現在こちらは完売で、iTSの配信のみで入手可能)。

地元の大きなイベントとしては、ホリプロ大阪主催の「KANSAIアイドルGENKIフェスタ」に出演(2010年夏、2011年春夏)。
今年、2012年2月には東京女子流Dream5ドロシーリトルハッピーがメインを務めたベルサール秋葉原でのイベント「Girl's Revue」の前座的な第一部にB♭ら3組とともに出演。
7月の「第10回ヤンヤン歌うステージ」(第一部)から2ndシングル「恋のmusic/Shining Day」が販売開始。
8月にはTokyo Idol Festival2012出演(両日2ステージずつ)
その他、今夏は東名阪のイベント出演多数。

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 と基本的な情報をまとめたところで、個人的に感じるキャラ☆リボの魅力を書いておきましょう。
 キャラクタの多様なミックス具合が注目点ですね。
 あまちゃんは将来、立派な大阪のオバちゃんに成長しそうなキャラ。ライブ定番の「ある小芝居」などローカル性を一手に引き受けてるのに対して、3人の中ではお姉さん的存在、せーなちゃんは若干バタ臭く、お嬢様っぽい雰囲気の対比があり、更に「奄美大島生まれ山形県育ち大阪在住」というナニワ色の薄い履歴のあーちゃんがトリオの性格づけを多様にしているのですが、歌唱においては非常に統一された質感があるので、全体として面白い化学反応をもたらしています。
 それから、細かくは説明しないですが少年隊と似たようなビジュアル感があるように、個人的には感じます。


 PRソング以外の楽曲はスクールの歌の先生2人が制作。キブン☆ヘブンというバンドもやっている方々で、リーダーでボーカルのラッキー☆篠原こと篠原良知さんが作曲アレンジ、ボーカルの鈴木綾さんが作詞とコーラスを担当。
 鈴木さんはジャケットのデザインも担当と手作り感満載なんですが、CD全体の出来上がりの見事さは、このコンビに支えられているところが大きいと思います。
 また衣装がメンバーの母君のお手製だったり、ライブでもメンバーお手製のプレゼントがあったりとホームメイドな感触にあふれています。でもみすぼらしいチープなところが無いのが良いところ。
 ステージの演出も台本を、結構しっかりと作っているところも見受けれて、それでありながらアドリブ的に繰り出すやり取りが前述の3人のキャラと相まって、絶妙なアンサンブルです。
 実際のところ未だ彼女たちはオリジナル楽曲は持ち歌4曲、というか「なにわ食いしんぼ横丁」は純粋なオリジナルではないので、3曲しか自分たちの曲はないアイドルなので、まだまだ始まったばかり。なのに、かなりの期待を持たせてくれるグループ。すくすく成長していってほしいものです。


 もう一つ、シーン全体の中で考えた時に「他の地域発アイドルにも見習ってほしいなあ」と思うことを。
 おそらく彼女たちは遠征するときは全部、新幹線だと思うんですよね。結構、夜行バスとか使うグループも多い昨今。もちろん3人という人数の少なさもあると思うんですが、これまで無理をしてプロモーションをしてません。でも、楽曲とステージを手作りでも、しっかりと作り込んで、少ない回数でも効果的にイベントに参加すれば結果が出てくるんだなあ、と思えるのが素晴らしいです。確かに大阪のシーンについては「日本で第二の都市なのに、アイドルが盛り上がってこないなあ」、と感じる部分もあるんですが、逆に中学生ぐらいまででガツガツ売り出すのも本当に良いことなのか、とも思います。某大阪のメジャーグループも今年は、かなり脱退者がいますし…。
 本当、「東京」への売り込みに必死になる前に地方発アイドルには地元でやることがあると思うんですよね。